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問川の声に、全員が一斉に黙る。
よけいなことを言えば死ぬ。
吉田がそれを証明した。
「さあさあさあ。早く答えて」
誰も何も答えない。
動くことさえしなかった。
友名も窓のそばの床でじっと丸まっていたが、友名はクイズの答えを考えていた。
『あなたが目覚めると朝でした。さて、その日は何月何日でしょう?』
クイズの問題文はこれだけ。
つまり、答えを導くヒントはこの中にある。
このクイズの答えに、一番近付いているのは自分だ。
友名はそう考えていた。
クイズは解けば解くほど、クイズを解く力となる。
例えば、クイズには『あなた』と解答者を登場させるものがある。
『あなたはバスの運転手です。バスには三人乗っていました。最初のバス停で一人降り、次のバス停で二人乗って来ました。その次のバス停では三人降り、六人乗りました。さらにその次のバス停で二人降り、三人乗りました』
と、ここまで聞いて、ほとんどの人間はバスに乗っている人数を答えるものだと思って、計算しながら人数を覚えておくだろう。
しかし、続くクイズ文はこうである。
『さて、バスの運転手の名前は何でしょう?』
これは、解答者のことを答えさせる、ひっかけ問題である。
計算に夢中になっていればいるほど、運転手の名前が分からなくなる仕組みになっている。
他にも、色々なバリエーションがある。
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