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友名はどうしてこんなところにいるのか長谷川に聞きたかったが、長谷川の顔は色を失っていて、聞けるような雰囲気ではなかった。
「どうしてこんなところに……」
呟いてみてもわからない。
どんなに頭の中を探ってみても、学校に来た覚えはなく、友名は確かに自分の部屋で寝たはずだった。
もしかして、これは……。
「イテテテ」
考えを遮る声に、友名は隣の席を見た。
いつも笑顔を絶やさない吉田が、頬を擦って複雑な顔をしていた。
「……夢じゃないのかよ」
吉田が呟く。
どうやら、友名と同じことを考えていたようだ。
友名も頬をつねる。
痛い。
友名が力を込めるのと同じだけ、頬は痛さを訴えていた。
それは、夢ではないという嫌な現実を、友名に教えていた。
友名も吉田と同じように頬を擦りながら、この状況を考える。
夢じゃないのなら、これはいったいどういうことなのだろう?
友名が考えに沈んでいるうちに、教室の中はうるさくなっていた。
長谷川がクラス全員を起こし終わり、皆が騒ぎ始めたのだ。
何故、学校にいるのか?
何故、制服を来ているのか?
何故、こんなことになっているのか?
口に出す疑問は皆、同じだった。
けれども、それに答えられるものは誰もいない。
「ねえ、こんなとこいてもしょうがないし、帰ろうよ」
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