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そして、教室の中が静まりかえった時、それを破るかのように、スピーカーから音声が流れ出した。
「きーんこーんかーんこーん」
それは、いつものチャイムと違う、明らかに人間の声で言われたものだった。
「おはようございまーす。皆さんお目覚めですねー?」
声はさほど低くなく、まだ声変わりをしていない男子の声に聞こえた。
「さてここでクイズです。僕は誰でしょう?」
いきなりのクイズに場がどよめきだす。
それぞれが視線を合わせ、首を横に振って誰だか分からないと示した。
「ちくたくちくたくちくたく」
答えられないことを焦らすように、時間の経過を知らせる声がスピーカーから流れる。
その声に煽られ、皆の顔がどんどん焦り始めた。
異常な状況に、何故か答えねばならぬような気にさせられていた。
皆が必死に答えを考えている中、友名は一人青ざめていた。
友名はスピーカーの声に聞き覚えがあった。
それは、もう絶対に聞くはずのない声。
友名は恐る恐る答えを口にする。
「……問川?」
皆の顔がぐるんと友名に向いた。
そんなことありえないと、皆の顔が驚愕に染まる。
しかし、皆のその気持ちを裏切るように、スピーカーからは愉快そうな声が流れた。
「ピンポンピンポーン! せいかーい!」
そして、一拍置き、スピーカーの主、問川守ははっきりとした声で言った。
「僕は問川守」
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