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 教室は恐怖に包まれた。  ある者は叫び、ある者は泣き、ある者は教室を出ようとドアを何度も叩いた。  混乱と恐怖の渦が、教室の中を支配していた。 「はいはい、静かに静かにー!」  大音量の声が、スピーカーから教室に響き渡る。 「うるさくして僕の邪魔をしないでよ。困るなぁ」  いかにも迷惑だという風に、スピーカーからはため息が漏れた。 「俺たちは関係ないだろう!」  混乱の中、誰かが叫んだ。 「そうよ! いじめていたのは私たちじゃない!」 「俺たちは関係ないんだからここから出してくれ!」  初めの叫びをきっかけに、他のクラスメイトたちも叫びだした。  そして、皆の視線が、イジメの犯人たちへと集まり始める。  友名もそちらを見た。  固まるように立っていた三人。  飯田、真島、青梅。  制服をだらしなく着て、黒髪ばかりのクラスメイトたちの中、髪の色を変え、三人は素行の悪さが一目で分かるようなタイプの人間だった。  この三人が問川をいじめていた。  問川が死んだその日まで。 「何だよ!」  集まる皆の視線に真島が怒鳴る。 「こっち見んじゃねーよ」  青梅が皆を睨み付けた。  いつもなら、これで皆は視線を逸らしていた。  しかし、今日は誰も視線を逸らさない。  そのことに、真島と青梅は戸惑う。 「この三人だけでいいだろ」  誰かがポツリと言った。 「そうよ」
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