7/13
前へ
/15ページ
次へ
「そうだ」 「俺たちは関係ない」 「巻き込まないで」  クラスメイトたちの視線が、三人を責めるように刺す。  迷惑だと視線で語っていた。 「ダメダメダメ。残念だけど、誰も出さないよ」  スピーカーからの声に、皆の視線が一斉にスピーカーへ移る。  信じられないものでも見るかのように、スピーカーを見上げた。 「何でよ! いじめていたのはこの三人だけじゃない!」 「俺たちは何もしていないだろう!」  皆は声を荒げてスピーカーに訴えた。  関係ないはずだと思っているクラスメイトたちには、出してもらえないということが理解出来なかった。 「僕にとっては同罪だよ。いじめられていたのを知っていたのに僕を無視して、まるでいない人間かのように扱ったんだから」  問川の言葉に、皆は口ごもる。  事実だったから。  いじめは皆の前で行われていた。  巻き込まれたくなくて、誰もが『そこには誰もいない』『誰も酷いことはされていない』と自分の視界から存在を消していた。  問川に誰も反論が出来ず、教室に沈黙が落ちる。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加