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目の前には、大杉の突然の変化に顔を引きつらせる役者仲間たちと、鏡に映る自分がいた。
大杉の脳が『見知らぬ顔色の悪い男』と認識したそれは、大杉自身の顔だった。
「今、なんでやめたの? かなりいい感じだったよ、今」
「あ……いや、なんか……これ以上は、怖くなって」
「あー惜しい!! そのままイっちゃえばよかったのに!」
星崎の悔し気な声を聞いて、ようやく大杉の脳が正常に機能し始める。
自分の顔を一瞬とはいえ失認していた事実に、大杉の身体は震え、堪えるのがやっとな程の強い吐き気に襲われることとなった。
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