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私がいくら喋っても、彼の返事はない。――いつだって、そうだ。これに慣れたはずだったが、いつも心は少し傷つく。そのたびに、ああ、私ってそこまでタフじゃないんだなぁと気付かされる。
何も反応しない彼を横目に、プリンをテーブルの上に置き、窓に歩み寄る。重いカーテンを掴んで一気に開け放つと、外の眩しいひかりが部屋の中を満たした。ひかりは床に落ちて、ゆらゆらと揺れる。ついでに、と、窓も開ける。殺風景なほどにこざっぱりとした部屋に、少し冷たい空気を流し込む。
私がこの部屋で何を言っても何をしても、彼はどんな反応も示さない。まるで植物だ。
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