『カレンダーに秘めた想い』企画

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 こんな日に、彼といられるのであれば。 「明日だね」  ベッドの中から彼は外を見ながら呟いた。  身体には幾つものチューブが繋がっており、誰がどう見てもその先は明瞭だった。  でも私は、惚けた振りで今日も笑う。 「クリスマスだね」  医者から余命を宣告されたのは、三ヶ月前くらいだろうか。丁度、クリスマスの時期だと。  その時に決めた。ちゃんと悔いのないように三ヶ月を彼と過ごそうと。 「俺たちが付き合って、明日で二年目だ」 「それもそうだね」  私は彼の手を握った。  彼の手は温かくて、とてももうすぐこの世を離れる人のものとは思えない。だから余計に、不安になる。 「俺も、そろそろ……」  彼の横顔はとても無機質で、何を考えているのかは分からなかった。私は急に強い焦燥にかられて、笑いながらも舌を縺れさせ、彼の言葉から彼の未来を擁護した。 「キリストの生まれた日だよ。明日は幸福と、祝福の日」  そんな日に、わざわざそんな日を選んで、死んでいく必要なんてないよ。神様だって、そんなに惨くはない。 「キリストが生まれた神聖な日に死ねるって、それはそれで神秘的だよ」  彼は冗談めかしく笑う。 「全然神秘的でも何でもないよ」  私にとってみたら、残される身にもなれば。  私はぎゅっと唇を結んだ。  話せば話すほど、どんどん二人の空気は淀んでいった。まるで笑い話のように話しても、笑えない。
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