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-999年9月13日・晴れのち曇り-
「大佐。クラウザーです」
「入れ」
俺は静かに大佐の執務室の扉を開けた。
執務室には既に一人、大佐の客であろう一人の男がいた。
見るからに怪しげな、まるで手品師のような格好をしている。
俺の視線に気付いたのか、男はへらっと笑い手を振ってきた。
口元は笑っていたが、目元はマスクによってどういう状態か確認出来ない。
(腹立たしい)
そう毒づきつつ、大佐に用件を訊ねた。確認を取った。
「…例の反乱の件でしょうか」
「そのとおりだ。ギルバート・バリッシュ率いる反乱軍が、我らが慕いお守りする国王陛下のお住まいになる、この城に向かっているとの情報が入っている」
彼らがこの城に…。
「その…反乱軍は、いつ頃到着しそうなのでしょうか」
「順調に来るのなら二週間とかからないだろう、とのことだ」
「へぇ~え、そんな短期間でカリスト様の軍とお城が潰される予定なんだぁ~!アッハハ!」
聞こえたその言葉は、客人である男から発せられたものだ。
信じたくない程、侮辱的なものだった。
「貴様…陛下を愚弄するつもりか!」
俺はカッとなり、男の胸倉を掴みにかかろうとした。
しかし―。
「…今僕に暴力振るおうとしたでしょ」
「は…え!?」
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