第三話 ~最悪の朝・1~

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「少佐?」 「………」 ウィリアムの、ゆるく弧を描いた口元はひどく蠱惑的だった。 見つめられるのが嫌で、とにかく嫌で嫌で恐ろしくて堪らないのに、目が離せない。 思いたくないが、これが彼の魅力というものなのだろうか。 「………ッ」 「今、生唾飲んだね?僕に見つめられてドキドキしちゃった?」 そんな訳がない。 「離れろ。大佐へ報告の後、城から即刻立ち去って貰う」 「大佐が少佐を庇うと思っての言葉かな?でも残念!」 僕は大佐直々に招待されたお客様なんだ。 そう言いながら彼はどんどん近付いてくる。 もう、鼻先が触れそうだ。 荒くなった俺の呼吸なんか、きっとすでに触れているかもしれない。 「やめてくれ、お願いだ…」 「何を?」 「んっ…」 ほんの少し、唇と唇が触れた。 それだけで俺の心臓は跳ね上がり、額の汗は止まらない。 あぁ、だれか………。 …………。
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