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「少佐?」
「………」
ウィリアムの、ゆるく弧を描いた口元はひどく蠱惑的だった。
見つめられるのが嫌で、とにかく嫌で嫌で恐ろしくて堪らないのに、目が離せない。
思いたくないが、これが彼の魅力というものなのだろうか。
「………ッ」
「今、生唾飲んだね?僕に見つめられてドキドキしちゃった?」
そんな訳がない。
「離れろ。大佐へ報告の後、城から即刻立ち去って貰う」
「大佐が少佐を庇うと思っての言葉かな?でも残念!」
僕は大佐直々に招待されたお客様なんだ。
そう言いながら彼はどんどん近付いてくる。
もう、鼻先が触れそうだ。
荒くなった俺の呼吸なんか、きっとすでに触れているかもしれない。
「やめてくれ、お願いだ…」
「何を?」
「んっ…」
ほんの少し、唇と唇が触れた。
それだけで俺の心臓は跳ね上がり、額の汗は止まらない。
あぁ、だれか………。
…………。
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