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魔城クロノス、円卓の間。
街灯も何も無い夜の田舎道程度には暗く、若干小さめの体育館程度の広さがある、魔王様お気にいりの部屋である。
円卓の周囲には紫色の炎が灯された燭台が立てられ、床には凄くそれっぽい魔方陣が描かれ。それぞれが上手い事禍々しさを引き立てていた。
この円卓には、魔王軍屈指の魔力を持つと謳われる魔将四天王、魔王の近侍でもある冥土長アンリ、そして魔王の合計6つの席が設けられており、この日は珍しく全ての席が埋まっていた。
厳かな雰囲気に包まれる中、最初に口を開いたのは、自分に対する部下の陰口を思いきり聞いてしまったかの如く不機嫌さを滲ませた魔王であった。
「なんなん自分ら。ほんまにやる気あるん? なんでももう既に全員勇者一行にやられてんの? アホちゃう?」
口調に関してはもう、そういうものだと思っていただきたい。
「いくらなんでも早すぎやろ。うちらがこの世界に君臨してまだ半年やで? これからやん。正直まだ何にも出来てないやん。悪そうな城建てて悪そうな雰囲気だしてただけやん。それなのになんでもう壊滅寸前なん?」
「「「「…………」」」」
魔王が第3の目を含めた全ての目で四天王達を見まわすが、彼等はびっくりする程の無表情で魔王を見返していた。
「いやいやいやいや……おかしない? なんでこの状況でそんな表情が出来るん? 普通はほら、申し訳なさそうやったり悔しそうやったり……嘘でもそんな表情するやん。無表情て……無いわー。親の顔見てみたいわー……自分ら恥ずかしくないん? 魔将四天王とか名乗っておきながらこの体たらく。なあ?」
「「「「…………」」」」
四天王は変わらずの無表情。しかし魔王は徐々にエンジンがかかってきたのか、やたらとオーバーな身振り手振りを交えながら声を荒げる。
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