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「マリヤちゃんに分かってもらえなくて、残念だったね」
ベッドに腰掛けると、髪をなでられた。
子ども扱いされて、ローザはまたうつむく。もうかなり前だけど、本当に子どもだったとき、よくこんなふうに慰められていた。
フェザーは、マリヤを信じていて、いつもその決定に従っている。頑固だがこの国を愛しているマリヤに、不安を感じてはいないのだろう。
「私が十四歳じゃなかったら、政府に少しでも意見できたのに」
涙を流して訴えるローザを、フェザーは優しく抱き締めた。その胸にも、赤い水滴が滴り落ちる。人形族は、すべての体液が真紅色なのだ。
「そーだねぇ。でも、マリヤちゃんのやることだし。戦うのが必要ってのも、ボクにはよく分かんないけど、マリヤちゃんが言うからそうなんじゃない?」
ふわっとした楽観的な声が、ローザの耳に降る。
マリヤとは、意見が合わないことが多くて、つらく感じることもあるけれど、この人の柔らかさに、ローザは救われている。二人の血を混ぜて注いだ薔薇から生まれたのだから、どちらとも分かりあえるはずだと、ローザはまだ、希望を持っていた。
(止められないならせめて、早く終わってくれればいいのに)
自室へ戻ってから、祈りを捧げたローザは、無力感に苛まれて、なかなか眠りにつけなかった。
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