どこにでも奴は

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数分後、俺は窓を開け放つ。 「アカン、めっちゃむせる」 これを使うと、人間はむせる。 食器も家具も全部洗わねばならない。 だから使いたくなかった。 だが、その恩恵は凄まじい。 「うわ。めっちゃいるやん」 隠れていたゴキブリも全滅し、俺の部屋は完全な安全地域として認定された。 辛く長い戦いではあったが、勝利の喜びは全てに勝っていた。 余韻に浸りつつ、部屋の片付けどうしようとか犠牲になったテレビや洗濯機や炊飯器やコンポなどの家電はどうしようなどと考えてた俺は、ヘヤをノックする音に気が付いた。 「はい、なんでしょう」 「兄ちゃん。お前うるさい」 「あ、はい。ごめんなさい」 となりのヤクザだった。 めっちゃ睨まれた。 正直おしっこ漏れた。
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