Frantic

2/11
6960人が本棚に入れています
本棚に追加
/856ページ
 あくびを噛み殺してデスクに着いたままで窓の外を見る。大きな空なのに雲に隠されて今はどんよりとしていた。  ハッと我に返り俺は、山積みになった伝票を打ち込んで行くと、ポンと肩を叩かれた。 「小鳥遊、昼どうする?」 「あー俺はこれ終わらなそうだー」  会社は残業を推奨していないので、人が少なくてもその日の定時までに仕事を終わらさなければならない。  けれど今日は1人風邪でダウンしたお陰で4人の仕事を3人でやるために、手分けしなければならないのだが、前日に休んだ彼女は彼氏に電話で話している所を聞いていた…。 「明日休みだからどこか連れてってよ~」  それを聞いて明日この子は休むのか…と、ガックリしたのを覚えている。そんな回想をしているとギシッと隣の席が軋んで声が聞こえた。 「残業の許可欲しいよなー」  隣の席の俺と同じ派遣が呟く。 「うん、でも俺は・・・残業出来ないけど」 「なんだよー!金欲しくないのー?」  欲しいから他でバイトしてんだけどね。  隣の席の人は結構見た目がチャラい。 けれど俺の同期なんで、結構仲良くやってる。  名前は佐々木そして俺の後ろで昼飯行こうぜ~と言い続けてるのは同じ部署の三人のうちの一人横山…女の子は高橋さんだ。  横山は同期が辞めてしまって、今は一人しかいないので入社の時期が近い俺達と良く一緒に昼を食べたりする。  まぁ面倒だから昼飯位は一人で食べたいんだけど…皆群れるのが好きらしい。  横山がギャースカと騒ぐので、取りあえず早めに切り上げると言う約束付きで社員食堂へと向かった。  休憩も時差があるので、食べてる人は疎らだが俺達は三人で座席を決めて注文するとすぐに食べ物が出て来る。  自分で作らないだけ、早いしそして社員食堂だけあって安い。  時折弁当を持っては来るけど、キャラ弁とかが流行り出したお蔭で、弁当の中身を皆が気にして来るからあまり持って来なくなった。 「小鳥遊~お前目のクマすげーぞ?」 「あ~…」  昨日あの後二宮先輩と別れて、自宅へ帰り家の中にすぐに入ったが・・・  マフラーを洗濯しようと思ったら柔軟剤切れててコンビニへ…帰って来て、回してると今度は腹が減ってコンビニにもう一度出るのは嫌だったので飯を焚いたら…  かなり遅い時間で、睡眠時間2時間だもんなぁ。
/856ページ

最初のコメントを投稿しよう!