A belief

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 べしゃ・・・と、落ちたおいなりさん。 「勿体ない・・・」  下に落ちたわけでもなく、前に座ってた先輩の前だったから拾いあげようと思った。 ら。  先越されて、先輩が食った。  マヂか・・・・・・・・・  周りはキョトンだし、俺は赤くなるし、先輩は知らん顔だし。  高橋さんが空気!!!構ってちゃんを空気にすると、恐ろしいんだぞ!? 「あのっ!私のッ!」  そこまで言ったら佐々木が手を前に出し高橋さんに静止をかける。やはり構ってちゃんだ。 「あのね、小鳥遊の字じゃなかったでしょ?あんな汚い字小鳥遊が書くわけないし」  おおう!佐々木があの字をディスってるし・・・  高橋の自演なら自分の字を汚いと貶されたも同然で俺は、どうしていいかとアワアワとしてしまった。  が!だ。さすが強い・・・。 「小鳥遊さんの字だって、そんなに綺麗じゃないですよー?!」  隣の席だしね、見る機会はあるさ。 まぁ、綺麗じゃないって言われても、人が読めるを心掛けてはいるんだけどね!  そんな事思ってたら、正面の二宮先輩が薄く笑った・・・なんか、黒い笑顔ってこの事か!? 「へぇ、君タロより綺麗な字書くんだ?」  そう話しかけられた高橋さんが、ええー?とか声を上げたと思ったら、二宮先輩の方に身体を寄せて胸の谷間強調しとりますが、これはどう言った寸劇なんすか? 「小鳥遊先輩よりはってだけでぇーそこまで上手くはないですよぉー?」  その言葉に横山が鼻で笑い、佐々木は何やら聞かなかった事にしたらしく完全放置。 でも、二宮先輩の攻撃が始まった・・・恐ろしい。 「タロは書道7段だよね?」 「あっ、はい。」 「それよりこの人は上手いの?」  俺に振るなー!!! 「7?書道?」  解らなくて首を傾げる高橋さんに、佐々木が携帯を見せた。 「これ、小鳥遊が書いたヤツ上の看板な 」  みんな一斉に覗き込んだ。  つつつ!?!?!?  そこに写ってたのは、新入の職員の配属部署の割り当て表。入ったばかりだったが、履歴書に書いた俺の書道の腕を買われて、別給料で書いたものだった。 「さっ、佐々木さん!?なんで俺が書いたって・・・」 「あー小鳥遊さ、この発表見て第一声・・・〝佐々木がアンバランス〟だったんだ。 俺の名前だろ?それのバランスが悪いって言われてるみたいでカチンときてさ、文句言ってやろうと思ったら〝もう少し間があればなぁー〟って、ホント独り言のように言うから名前に文句ではなく字に言ってんだって解ってさ」
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