A belief

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 あぁ、そう言えば記憶にあるわ。 文字の大きさにも制限あって何故か俺と佐々木だけが三文字だったんだよ。  俺は佐々木の後に書いたから、バランス取れたけど・・・佐々木のはうまく行かなかった。 金もらうなら書き直したいって申し出たら、社長がこれで十分だとか言って書き直しを却下しやがったんだっけ。  まさか、思ってた事が口から漏れてるとは・・・  思わずガックリ頭を項垂れた。 「えぇ!?これ、印刷じゃないんですか?」  高橋さんが素っ頓狂な声を上げた。 「あー俺が書いたんだよ・・・一応」  そう告げれば、ポカンと口を開けてこちらを見る高橋さんになんと言っていいのやら・・・。 「ね?これより貴女は上手なんだよね?」  あぁ、悪魔の笑顔とはこの事か。高橋さんは、真赤になって慌ててどこかへ消えて行き佐々木と横山はククククッと笑ってるし。 「先輩、やり過ぎですよ・・・お前らも」  と諌めれば3人とも肩を竦めるだけだった。 「小鳥遊の字好きだから、あー言って貶されんのイラつくんだよな」  と......横山。 「あぁ、俺も好きだ」  と...頷く佐々木。  いや有難いけどさ・・・。でも、チラリと横を見れば先輩がニッコリ笑う。 「俺はタロちゃんが好きだけどね」  oh......電撃ショック受けたみたいに、俺は固まってるのに、どうやら周りは普通?  なんで!?  あれ?ふ、普通なのそれ!?  驚いて二人を見れば、頷いて来て、それだけじゃ解らんと問えばもう、昼休み終了の合図。  マジか・・・。  なんかさ...何だろこの不可思議な感覚。休み時間に、近くにいた佐々木をとっ捕まえて聞いてみた。 「え?ニノさん小鳥遊の事好きだろ?」 「えっ?それって・・・」  俺ってばアホみたいに青くなったのが、血の気の下がる感覚でわかった。 「あれ?違う?大好きな友達って見えるんだけど?」 「あー違いません・・・」  なんか周りから固められてる気がしてきた。 けど、大好きな〝友達〟で、止まってくれるならどれだけいいか・・・  ダメだ多分言われたから気になってるんだ…。  こんなの気にしてたらドツボに嵌るだけだよなって解ってるのに、先輩の時折見せる切なそうな顔に…つい、俺もつられて胸が苦しくなる。  片思いしてますって…本当に思えてくる不思議さよ…。男同士の恋は今の世の中では結構受け入れられてるし、百合だって全然受け入れられてるけどさ…やっぱ自分がそうなるとかも考えた事無かったし…  ってまた無限ループに片足突っ込んでる俺。
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