A belief

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 雅たちは渋々と帰って行って、店内がほっと一息付いた。 「色々助力と助言ありがとうございます」  カウンターを片付けながら、みんなに感謝すれば、軒並み笑顔で気にするなと言ってもらえた。  但し!イケメンは、たいそう御機嫌斜めなんですがっ!?  取り敢えず閉店後、残されました・・・。  店内は既に椅子があげられ、掃き掃除も終わった状態。  電気を消して、事務所に入れば先輩がカクテルを出してくれた。 「マルガリータ、それを飲みきるまで時間くれないかな?」  ショートグラスの淵を、塩が覆っていて俺は初めて飲むソレを手に持った。 「解りました・・・ホント、今日はすみません」 「顔見知りなんて、いつ会うかなんて解んないし、ソレについては別にどうでもいいよ・・・ただ、元カノとなるとやっぱり心がザワつく」  その独白を聞きながら、マルガリータをひと口。 「美味しい・・・」 「良かった・・・」  まるで恋人の空間みたいで不思議な感覚の中俺はもう一口と、喉へと通していく。  熱い熱の篭った度数の高い酒が、胃まで流れ落ちる感覚が心地いい。 「妬かないって思ってたけど、俺って案外嫉妬深いのかも?」 「そうなんですか?俺の初めての相手はあの子ですけど今は何とも思ってないし、思いたくも無いんですけどね。」  そう伝えれば、先輩は不思議そうな顔をした。  あの場所にいた理由でもないし話した理由でもなかったから。  俺は取り敢えず、彼女からの告白とそしてセックスに至るまでの話を全て聞かせた。  なにせ、それで迷惑掛けたんだし。  そしたら、先輩がハハッと笑った。 「なんすか?早漏ですか?晒された事ですか?」  笑われたのだから自分の汚点の話だと思ったが、先輩は渋いままの顔で俺に伝えてきた。 「俺は酔って寝てしまった時に襲われて、覚えて無いよ」 「流石イケメン!襲われるとか羨ましいっ!」 「羨ましい?そうか、なら俺が襲ってあげようか?」  それは勘弁願いたい。 「すみません・・・ほんの出来心です」  イケメンだからって、いい思いばかりじゃないんだなと漠然と思った。  そんな話を終わる頃マルガリータも飲み終えて、2人でまた帰るまでの道のりを歩く。 「タロちゃんの思いを踏みにじれる彼女は、さぞかしモテるんだろうね?」  高橋さんといい、雅といい、最近女難の相でも出てるんじゃないかな? 「かもですね、俺には何の魅力も無いんですけど」 「なら良かった」  そう言って俺の手を取った。
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