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「連絡先、聞いてもいい?」
シンヤの申し出に私は頷いて、スマホを取り出した。
「今度は、映画にでも行かない?」
「映画・・・・・・」
「うん、ここに」
ショッピングモールを指さして言ったシンヤ。
「うん」
「じゃあーー」
「ーーねぇ、イルミネーション見たいの」
私の呼び止めに、シンヤは随分驚いたようだ。
目を丸くして少し黙った後、ニコッと笑った。
「見てく?」
「うん」
誰に後ろめたいこともない。
何か悪いことをしてるわけでもない。
キラキラした明かりの中で、何も気にせず「綺麗だね」とカラフルな光に没頭出来る。
ずっと私に付きまとってきた、可能性の見えない恋愛のスパイラル。
どこかで終わりにしなきゃいけないのだとしたら、それは今なのかもしれない。
出来れば、今であって欲しい。
例えばこの出会いが、恋愛に発展しなくても。
例えばこの出会いが、恋愛に発展して、上手くいかなかったとしても。
私がこのスパイラルから抜け出すんだとしたら、きっと、きっと、それは今なんだと思った。
可能性のある恋を。
後ろめたさのない恋を。
堂々と胸を張れる恋愛を。
ーーENDーー
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