ケサランパサランへようこそ

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「突然ですが課長、私は会社を辞めます。長い間お世話になりました」 「自分の夢を見つけたんだな。前から君は張りつめていたからね。でも今は声が弾んでいるよ」 「……申し訳ありません」 「幸福になれよ」課長から電話を切った。  伊藤さんが「うんうん」とうなずいている。  頭を下げる私の頬を、ケサランパサランが優しく撫でる。頼もしい相棒だ。  まだ大事なものを失っている人たちがいる。  さあ、次の旅に出掛けよう。 ──ケサランパサランへようこそ 終。
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