第1章・ある朝のきっかけ

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 うーん、たまたまいい人達だったというだけなんだと思いたいのだが、どうにも腑に落ちないんだよねぇ。  結局モヤモヤの晴れぬまま教室の扉(これまたそこらの学校より豪勢な造りじゃのう)を開けて入ってみると  …む?何だか少し視線を感じる様な気がしないでもない。  成績でクラスが決まるのだから対して面識も変わりないはずなので、今更おれが居た所でさして視線を集める理由なんぞ無いと思うのですが?  んーまあ気のせいか。  取り合えず教室に入った途端、おれの小さな視線感じる云々を軽く蹴飛ばすくらい何倍も目を惹きつける自称親友の宮科 杜真が目に入った。  杜真ってば頭以外だったら完璧なのになー、よりによって今年もおれと仲良くDクラスなんてさぁ。  しかも隣の席!やった!最初から席はランダム方式らしい。  これならこっそり挨拶するくらいなら可能だな!  ただでさえ新しい教室で少し浮わついてるんだ、学年で常に上位争いの渦中に居るイケメンな杜真にいつも以上に、話し掛けたくてソワソワしているチワワやら何やらが視線を注いでいる。  そんな中、平凡なおれが堂々と挨拶など出来るはずがないのだ。  進級早々病院行き決定なんて絶対嫌だよ!  だけどそれらのアッツーい視線をものともせず、当の本人は涼しい顔して友人とお喋りしている。  その友人も杜真には劣るけどみーんな美形だから対等だが、おれとなんて月とすっぽん。言うまでもない。  てか同い年なんだから皆対等でしょうがあ!  でもそんな杜真の隠れ親友ポジションに居るおれ。ふふふ。え、キモい?分かってますから、しぃーー。  隠れポジだからちょっと曖昧なとこがあるから、親友?って感じに表してるの。  だけど結構おれに甘いし、友人との約束とかだってドタキャンしてまでおれに付き合ってくれた事が何度もあった。(おれは別に頼んではないぞ)  何でそこまでしてくれるのか分からないけど、優越感っていうか何て言うか超嬉しいんだ、これが。  そんな我が親友に朝の元気の素、挨拶をするべく新しい自分の席に向かった。
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