音と猫とルビーの指輪

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――――  『ミステリー小説を語る会』の名のもと、私たちは集まった。インターネット上の、ミステリー小説を語る掲示板で話が発足した。  私はこの場所に、父親の立岡ショウジに連れられやってきた。  もっとも血の繋がりはないが、幼少の頃から育ててくれたショウジを真の父親だと思っている。  血の繋がった両親は、私が幼い頃の交通事故で落命し、この世にもういない。  ショウジと私がペンションに着いて、初めに挨拶を交わしたのはノリヒロだった。 「ご参加ありがとうございます。三井ノリヒロです。いやー、わざわざご足労頂き――」  ノリヒロは嗄れているうえ、少々上擦った声で喋る。慌てん坊で気の弱そうな印象を受けた。年齢はたぶんショウジと同じくらいで四十から五十くらいだろう。  彼は主催者という立場だ。適任ではないが、ペンションの持ち主ということで引き受けてくれたらしい。    ショウジが挨拶し、それから私についての説明をしてくれた。  すると大体みんな同じ反応を見せるので、されたくはないけれど――。
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