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次に会ったのは、ノリヒロの友人であるコックの小野マサオだった。今日の食事担当だ。
このペンションにも何度も来たことがあるらしい。
よろしく、といったマサオの声は、よく通るバリトンだった。耳に心地よく、ハリウッド映画のスター俳優を連想させた。
彼は私の手を握って挨拶をくれた。
あまりない経験で、ドギマギしてしまった――。
今度は威勢のよい若い声の挨拶がやってきた。
「どうもはじめまして。小松タイチです。警察官をやってます。好きな作家は――」
タイチはその瞬間から、かなり社交的な印象だった。彼はすぐに私にも興味を示した。
「こんにちは」
私の顔のすぐ目の前で、彼は挨拶をした。私の顔の高さくらいまでしゃがみ込んで話しているのだ。
初めて会う人間に接近されると警戒する。マサオの時もそうだったけれど、私はどちらかというと人見知りをするタイプ――。
「かわいいなぁ」
タイチに頭を撫でられた。乱暴に頭を撫でられるのは嫌いだったが、タイチの掌は丁寧で優しかった。
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