音と猫とルビーの指輪

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 最後の参加者は女性の二人組だ。 「あたしは秋吉レナです」 「カナです」 「まあ見ての通り――。あたしたち双子の姉妹です」  秋吉レナとカナは、声までそっくりな双子だった。まるで一人のように聞こえるから、すごい。  声の雰囲気からして、二十代後半というところだろうか。  姉のレナはイラストレーターで、妹のカナは美容師だと自己紹介した。  当然私のことも尋ねてきた。そして事情を聞き、やはり同情の声が漏れた。  同じ声と台詞だったので、どちらがレナでどちらがカナの声なのか、区別できなかった。  こうして参加者全員が集まった。改めて挨拶を交わした後、ペンション奥の大部屋で会食をした。  それから十五時まで、それぞれが贔屓にしているミステリー作家について語り合った。  十五時を過ぎると、談義も長丁場となっていたのでお開きとなり、各自に自由時間が与えられた。  だが――。  思いがけない事件は起こった。ルビーの指輪が消失するという、ミステリー展開に巻き込まれてしまったのだ。
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