世は随に僅か歪み【ジャンプ＋用】

芸１＜タレント＞

久々に晴れ上がった空は夏の訪れを感じさせ、うっすら汗が滲むくらいの陽気になっていた。

「簡単に言えば、タレントとは超能力ね」
「え？」にわかには信じられない言葉だ。
「2010年に人間の脳は10％しか解明されていなかったけど、それは昔の話。現在（2178年）はとうの昔に100％解明されているの。
人間の脳が100％解明されると、人間に潜在能力って言うのかな？そう言う個人に備わった特殊な能力を有する事まで科学的に証明されたの。それでも50年前の話ね。
ここまではいい？」アヤちゃんの教え方は巧い。一気に説明せずに僕の理解度を確かめながら進めてくれる。
「…じゃあ、全ての人間がタレントと言われる特殊能力を持っている。って事なのか？」
「そう言う事ね。でも、最初から自由に使えるワケもなく、訓練を要する技術であって、おいそれと使える事はないわ。