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僕、ナルはとても平凡で普通な、どこにでもいる人間だ。
どうせ僕が主人公の物語なら、不治の病だとか、心を熱くする冒険でも挿し込みたいぐらいだ。
だが、そんな非日常的な事はなく憂鬱な毎日が過ぎ去っていき、貴重な人生の時間を浪費するばかり。
黒板には皆から出された「文化祭と言えば?」の定番が並び、アヤちゃんは心地好いリズムを刻みながらチョークを走らせている。
「なぁ…ナル。興味ないのか?」
クラスメイトで、幼馴染みの遊鬼(ゆうき)が退屈そうにしている僕に話し掛けてきた。
「興味ないね。何盛り上がってんの?」
「そりゃ今年は特別だからじゃね?何せ今年で200回目を迎えるコスモの文化祭だ。豊橋市の祭りがコスモに恐れをなして日付をズラすぐらいだからな」
コスモとは、秋桜ヶ丘高校の略称の事。【遊びの鬼】とも云われる遊鬼は、コスモを何かの力のように表現しているようだが、バカか。違うぞ。
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