祈りと畏れと

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「あっ……」 「――薔薇にだけじゃなくて……俺にも、頂戴?……干からびちゃうよ」 「――っ」 「ほなみの全部を欲しい……」  彼は、ほなみの胸元のボタンに手をかけると、片手で器用に全部外してしまった。しなやかな指が素早い動きでブラウスをはだけさせ、手に持った薔薇の花でほなみの首筋をつつ……となぞる。 「きゃっ……」  くすぐったさに声を上げる。彼は楽しそうに更に首筋から胸元にかけて花で触れた。花が太股付近をなぞり始めると、こそばゆさは悩ましい感覚に変わる。身体を震わせて頬を染めるほなみを、西本はいとおしげに見つめる。 「……可愛いよ」  片手で愛おしむように彼女の髪を撫で、薔薇の花びらで敏感な処をなぶるように刺激する。もっと強く愛撫して欲しいーーほなみは思わず西本の瞳を見上げ、そんな事を叫びたくなってしまう。彼は、ほなみの手に口づけて、低く魅惑的に囁いた。 「凄く、艶っぽい目をするんだね……」  そう言う彼の瞳も、引き込まれてしまうような色気が棲んでいる。  身体の中心がズクンと甘く疼き、優しい触れかたではもう我慢出来そうにない。彼にしがみつき頬に口付けた。
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