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「そうだな。理解出来なくて当然だ。ホシの目星も付いてないし、そのホシがどんな人間かも分からないんだ。だけど、間違いなく言える事は、犯人は、俺らと何ら変わりなく暮らす人間だ。何処かの胡散臭い奴らの言う、霊的な何かでも、悪魔や得体の知れない怪物でも、況してや地球外生命体とかの類いの仕業でもなければ、『人間』なんだ。きっと、その犯人なりの理由があって、そんな行動に出たんだろう。簡単には理解は出来ないが、理解しようとする努力は必要だ。そうしなければ、根本的な所で解決しない。だから見ろ、こんな事件は減るどころか、増えるばかりじゃないか。ま、理解できた所で、決して許される事ではないが、誰だって、生まれたばかりの赤ん坊の時から、悪意や殺意を持った者はいないんだ。だから、俺ら人間は、どうしてその人間が、そうなってしまったのかを考えて、予防策を講じきる必要があると思うぞ。世の中全体がな。」
「愉快犯みたいな、訳の分からない奴にもですか?あぁ言ったホシには、ほとんど理由らしい理由なんかないじゃないですか。」
木下が不服そうに声を上げる。
「理由はあるじゃないか。うちの署ではそう言った事件は少ないけど、お前だって二、三回は取り調べの経験あるだろ?ニュースやワイドショーでも、犯人の犯行理由も公表してるじゃないか。」
「えー。ムシャクシャしてたからやったとか、ムカついたから~とか、刺しといて、でも殺すつもりは無かった~とかそう言うのもですか?」
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