不可解の極み、校閲・校正課!

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黒谷は、顔に硬い笑顔を作ったまま、窓の方へ視線を向けた。 窓の外には、ヘッドライトを点けた車の行き交う様子が見えていた。 黒谷は更に、沙羽から顔を背けると、『何なんだよ、この女は…』と、そう思った。 そんな黒谷にじっとあからさまに視線を投げかけてる沙羽の姿が、二人のその目の前のガラスに映し出されていて、今度は背中をゆっくりと沙羽の方へ向けた黒谷だったが…。 しかし黒谷は、ふと真剣な表情に戻ると、目を閉じ、一息吐いて、沙羽の方へ振り向いた。 黒谷も、沙羽に聞きたい事があったのだ。 「江崎さん。」 「……はい。」 「朝の話し…なんですが、俺と前に…」 「会いました。」 即座に沙羽が黒谷の言葉に大袈裟な表情で返してくる。 「間違いなく俺でした?」 「ええ!間違いなく!」 「本当に?間違いなく?この顔でした?」 沙羽は僅かに眉を寄せて黙り込むと、何を言ってるの?バカにしてるの?と思って、ため息をついた。 「えぇ、そっくりそのまま、丸っごと!上から下まで、勿論その顔も、丸っとまるまる貴方そのものでしたよ。ま・ち・が・い・なく。心も!身体も!剥き出されてましたよ。」 一言一言言う度に、その目を見開いて、憤怒の形相を見せると、最後に不気味に笑って見せた沙羽に、黒谷は、苦虫を噛み潰したような笑顔になって、その顔を引き攣らせる。 更には、その上になお「詳細を説明しましょうか?」と、沙羽が言う。 「結構です!」 黒谷は堪らず顔を背けて手でその顔を覆うと、もう片方の手を上げて沙羽を止めた。 「そんな趣味、俺にはないので…」 黒谷は言った。 その言葉が沙羽の気に触ってしまったようで、沙羽の中でカチンと音を立てた。 「それは、どう言う事でしょうかっ!」 沙羽は、目と鼻を大きく広げて黒谷に問い質した。
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