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それからこれは一番大事なことだが、女性のお客さんと個人的なお付き合いをしないこと。
客に手を出すのはルール違反だ。その点俺はきっちり守っているから店長の信頼も厚い。トラブって辞めていった仲間も知っている。正直、バカだなぁ、って思う。
言っておくが俺はモテる。指名に女性客が多いし、露骨に交際を迫ってくるような輩もいる。そこはやんわりと上手くあしらっている。
もったいないとか上手くやればいいのにとか言う同僚もいるが、残念ながら女性には興味がない。
恋愛対象は男性だ。
生まれつき、だろうな。自覚したのは高校生の時だったが、随分足掻いて悩んで苦しんだ。どうにかならないものかといろいろ調べもした。
結局、すっぱり諦めて自分のことを受け入れたのは美容関係の学校に通っていた頃。
足掻いていた時期にちょっと痛い思いも経験して、それから俺は恋愛も割り切るようになった。
愛だ、恋だと言ったって所詮男同士。世間も役所も認めてくれない。それなら気楽に楽しんだ方がいいと思うようになった。
お互いに気持ちいいことしたいだけ。相手を探すにはそれほど苦労はない。それなりの場所はある。通ううちに気の合う相手とも巡り合える。特定の相手とセックスフレンドの関係になっていくのも自然なことだった。
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