至宝

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「困らなくていいって。俺が至宝と仲良しになったのは本当だし、な、至宝?」  ニャオン。  鱒崎はとても穏やかな顔をしてやっぱり羨ましいですよ、と言った。  猫を羨んでどうするってんだ。  ゴトゴトと音がして奥の扉が開き、ママがひょいと顔を出した。 「あれま、お客さんかい? おや、シゲちゃん、なっちゃんも」 「なっちゃんって!」 「なっちゃんだろ? ちょうどよかったよ、お節作り過ぎちゃってさ、片付けてってくれないかい?」 「片付けって!」  元々酒を飲みに来たのだし、酒の肴がお節だって構いはしない。でも、いちいち突っ込みたくなる。  なんかテンション高くないか? 俺。 「食べますよ、ちょうどお腹も減っていたんです」  鱒崎はとっくに食べる気満々だ。 「俺も、イヤだとは言ってないから……」 「そうかい、そうかい。嬉しいねぇ。さあさ、たんとおあがり」  出された料理はお節をアレンジしたものだった。文句なく旨い。 「お正月だからね、とっておきのいいお酒も開けてあげようね。遠慮しないで飲んどくれよ」 「おお、やったー!」 「ありがとうございます」 「二人とも飲みっぷりがいいからさ、気持ちいいンだよ」  鱒崎と、ママと、至宝と、飲んで食べて、わいわい過ごした。
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