至宝

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「もしかしたらがっかりさせるかも知れません。僕は、経験も少ないですし……」 「どんな心配してるんだよ、やってみなきゃわからないだろ?」 「でも、もし……、僕が夏輝を……ま、満足させられなかったら……もう会っては貰えなくなるんでしょう? 友達でもいられなくなる? 僕はそれが怖いです」  大きな体を縮こまらせて呟くシゲが堪らなく可愛いと思った。  年上なのに。ちょっと苛めてみたくなる。 「シゲは俺としたくないの?」 「!……、しっ、したいです、もちろん。ずっとずっと夏輝を想っていました。夏輝と、その……」 「おかずにした?」 「わっ! あっ、えっ!」  真っ赤な顔をあっちに向けたりこっちに向けたり、どんだけ初心なんだよ。 「男だったらみんなそうだろ? 恥ずかしいことじゃない」 「す、すみません」 「謝るなって。ちょっと嬉しいんだぞ。だから大丈夫だと思う。それに俺、巧いし。よっぽどのことがなければいいんじゃないか?」  フォローになってるか? 「そうでしょうか……」  シゲは赤い顔を俯けて俺の目をまっすぐに見ている。 「じゃあ、まずキスからな」  首に腕を回して顔を近づけた。肩を抱くシゲの手が一瞬、躊躇うように離れたが、すぐにしっかりと抱き返してくれた。
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