えせ天然彼氏と隠れ処女彼女の話

プラトニックを卒業しよう

私とカイは同い年で、今年２６を迎える。

それなのに初キスすらまだ済ましていないプラトニックラブな日々を過ごして９９日。

お互い仕事をしているとはいっても、平日に時間を作ろうと思えば作れるし、土日はほとんど休みだ。

もしかして、私に魅力が欠けているのだろうか。

それともカイはそれほど私を好きではないのか。

それともカイは同性愛者だったのか。

いやいやそれはさすがに信じたくないし想像もしたくない。

まてよ？逆に少し萌え...いや、ない。

自分で言うの何だけれど、私の彼氏はものすごくイケている。

仕事帰り、初めてコーヒーショップでカイの姿を拝んだ時には鼻を押さえてトイレに走ったのは記憶に新しい。

サラサラの黒髪に、長身。

端整な顔立ち。

それに加えてスラリとしたスーツ姿。

しかも上着を脱いでネクタイを緩めた時なんてもう「ごちそうさまです」と言いたくなる。

それから何度も何度も通いに通ったその店のトイレで、たまたますれ違った時に私は彼に告白したのだった。

仕事が終わる時間を連絡し合って、そのお店で一緒にコーヒー飲んだり。

たまに休みの日にどこかへ行ったり。

普通の彼氏彼女をしてきたつもりなのに、どこで何を間違えた。

乙女ゲーの分岐は間違えないというのに。