プラトニックを卒業しよう

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「スカート短くない?」 「嫌い?」 「いや、嫌いってゆーか...。寒くない?」 「.........」 こいつは。 一体何の為に私が今日この格好で来たのか分かっているのか。 「寒くないよ」 ここで引き下がっても意味がないことはよく理解しているので。 必要以上に距離を詰めて彼の隣に座る私。 それこそ、肩と肩が密着するくらいに。 沈黙の室内。 ここでベッドにでも押し倒してくれれば御の字なのだけれど。 ほら来いよ! 一人暮らしだろテメェ! なにビビッてんだよ! 母ちゃんが「ジュースでもどう?」って急に部屋に入ってくる年はとっくに過ぎてんだよ! 心の中の私は叫んでいた。 そして焦っていた。 逆に今にも押し倒してしまいそうな勢いだ。 立ち上がる彼に自然と手を伸ばす私。 お、来るか? こっちからも抱き着こうかと思いきや、すーっと横を通り過ぎていく。 私の行き場のない手がスカッと宙を彷徨う。 「どこ行くの?」 「ちょっとトイレ」 「あ、そう」 って、草食ってるにもほどがあるだろう! 私は側にあったクッションに勢いよく顔を埋めた。 今日もか。 また今日も、何事もなく一日を終えようとしているのかあの男は。
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