第一章『黄泉帰り』

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「餌というのは少年のことだよ。君以上の餌があるのなら教えて欲しいくらいだね。心配するな。大事な金ヅル、じゃない依頼人をみすみすと殺させやしないよ」 「俺たちは死角から君を護衛するから安心してくれ」  宗一郎を残して二人は闇に消えた。これも何か術の類なのかもしれない。 「本当に信用して大丈夫なのかな。あの人たち……」  蘭丸は頼りになりそうだが、なんだか亜緒のほうは頼りないというのが宗一郎の見解だった。  亜緒のほうは猫を撫でたり、いつもヘラヘラ笑っているというイメージしかない。  依頼人である自分を囮にするような策を考えたのも亜緒だし、宗一郎からすればもっと真面目にやってくれという気持ちにもなる。  もっとも蘭丸のほうはこれ見よがしに刀を所持しているので強そう、いざという時に頼りになりそうだと思い込んでいるだけかもしれないし、そう考えるとますます不安になるのだった。
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