吾輩は看板猫である

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そう、看板猫として名前を売ってしまった俺は、あれから何かイベントがあるごとに店にお呼び出しされるようになった。 「ルカちゃん、いたー!  昨日いなかったでしょ、おばちゃん寂しかったわ~」 今じゃ壁の一部には客のちびっ子たちが描いた 『ルカの似顔絵コンテスト』 なんてものまで貼り出されている。 壁際でご婦人たちが絵を見ては、レジ台にいる俺の方を振り返る。 「あらこの子の上手いねー」 おい、俺はもっとイケ猫だぞ。その絵、鼻どこにあんだよ、鼻! 「こっちの方が似てない?」 そんなライオン顔してねーわ! はぁ、もう疲れる。疲労マックス。HPほとんど残ってねー。 なのに。 「ルカ、今日はproseに行くか? 」 「みゃ!」 なぜかご主人に誘われると断れない。 ……なんでだ。 まあ、あれだ。 なんだかんだ言っても俺は、この店とここの人たちが、うむ、好きなんだな。 そんなわけで今日も俺は看板猫である。 <The End>
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