吾輩は看板猫である

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*** 金曜日は、ご主人はいつも朝からそわそわしている。まったくわかりやすいったらありゃしない。 というのも、瑠奈が毎週金曜日から日曜日までは我々の一人と一匹で住むには無駄にデカい一軒家に泊まりに来るからだ。 瑠奈は月曜から木曜までは幼馴染で親友のマリのところに居候している。変なアレンジだが、もともと瑠奈はマリを訪ねてアメリカに来たのだ。 なもんでご主人と恋仲になった後も、こういう形にしなさいとマリの親に言われたらしい。 まあ1週間ベタでこの家に瑠奈が住んでいたら、それはそれで俺も困るけどね。 なにせ瑠奈が来ると、俺の愛しの寝床である丸クッションが、2階のご主人の寝室から1階の客室に移動させられるのだ。 それどころか金曜から日曜まで、ご主人の寝室は俺の出入り禁止になるんだ。 この家で一番陽当たりがよくて広い、俺のお気に入りのあの部屋が!
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