黒い薔薇

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「そう言わず、たまには子供らしく遊んだらどうだい。遊びも魂の学びだよ。愛もね」 「愛?」 「愛したり、愛されたりして、人間は心を崇高(すうこう)なものにしてゆくんだよ、君もいずれ学ぶよ」 「崇高だって?」 あーっははは!と理緒は声を派手に上げて笑った。 「博士は、今まで何人の人間を愛したり、何人の人間から愛されたりして、どれだけ崇高な心を持てたって言うんだよ?」 「そうだね、愛を知って、崇高になる所か、逆に(いや)しくなる事もあるね、私は君と出会って卑しくなったかも知れない」 博士は、久し振りに理緒と2人きりで話せた事で、容易(たや)すく心のタガが外れた。 「僕と出会って?」 「君は美しく、そして、壊れている。危険な存在だ。愛したらいけないと思えば思うほど、ゾクゾクする」 「僕を愛したいみたいじゃないか、そうなのか? そんな目で、いつから見ていた」 「秘密の共有をしようと決めた日から、いや、初めて、その姿を見た時からかも知れないね」
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