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「だろうね。あぁ、君が泣くと言えば、こんな話を思い出した」
「何だ、言ってみろ」
「賢いと言う事は、不幸だね。君は言葉で意思を伝えられるようになった2歳の時に、人は必ず老いて死んでいくものだと悟って泣いたそうじゃないか。以前、パーティーの席で、君の母上が笑って、そう話していたよ。私は笑えなかったがね。僅か2歳で人間の一生を憂いていたなんて、気の毒だよ」
「中々気付かない奴等が馬鹿なだけだ」
研究所の中で2人きりになり、いつになく理緒と博士は会話を交わした。
「馬鹿な事は幸せだ。君も他の子供達の様に自分はいつまでも子供のままでいられると思い込んで、毎日遊ぶ事に夢中になれたら良かったのに」
「馬鹿な奴等は老いてから気付くのさ。失った時間を後から後悔するんだ。もっと、有意義に過ごせば良かったのに、なんて思うんだ」
「そう言う君は時間を有意義に使っている最中なのかね」
「あぁ、もう最初から、遊びに耽る事が何も生み出さないと知っている。だから僕は学ぶんだ。お遊戯なんて、幼稚園児の頃から馬鹿馬鹿しくて、エスケープさ」
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