記憶に残るキスの味

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「言わないでください。なんか調子が出ないだけです」 ふ、とまた笑われた気配を感じた。 もうやだこれ以上笑わないでください、と私はコピー機に目線を落としたままで若干拗ねていた。 「二日酔いか?」 「いえ、それほどでも」 「なら、いいが。女度、ないこともないと思うぞ」 二日酔いを心配されるほど、披露宴では酔っていなかったと思うけどな……でも赤くなりやすい方だから、そう見えたのかも。 …………ん? 今、課長、なんて言った? 最後に言われたセリフに、ぴき、と思考回路も顔も身体も固まった。 「無理に作っても、気色悪いだけだ」 ぽん、と頭の上を大きな手が乗った感触がして、衝撃で視界が揺れる。 それでもまだ固まった身体は動かなくて、課長が離れていく気配を感じて漸く振り向いた。
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