記憶に残るキスの味

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「何が」 「誰かの負担になって嫌々淹れてもらうなら申し訳ないって思うけど、快く淹れてもらえるならやっぱ自分でするより嬉しい。甘えかもしれませんが」 「有難みが薄れれば甘えだろうけどね。ようは気持ちが大事ってことじゃない?」 「感謝してます」 「よろしい」 カップを恭しく掲げて真面目な顔で言う仕草が、可笑しかった。 くすくす笑いながら残りのカップにコーヒーを注いでいく。 東屋くんは、まだカップを持ったままその場に留まっていて、何か話でもあるのだろうかと不思議に思っていると。 「さよさん、今度飯一緒に行きませんか」 「は?」 突然のお誘いにたじろいで、うっかりコーヒーを零すところだった。
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