記憶に残るキスの味

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このまま帰れば酷く塞ぎ込んでしまいそうで、そうなったら立ち直る自信もなくて、通りがかった小さなBarに足を踏み入れた。 自分を知ってる人間が誰もいない場所で、逆にほっとできるなんて経験初めてだ。 気が抜けたら、式で飲んだシャンパンが今頃になって程よく脳内を酔わせ。 「ブルームーンを」 カウンターの中にいるバーテンダーに、お気に入りのカクテルを頼みこのままアルコールに身を任せてしまうことにした。 このカクテルを教えてくれたのも、園田だ。 思い出して泣けてきたが、今はこのカクテルが自分にお似合いな気がして同じものばかりを、何杯飲んだだろう。 ブルームーン。 叶わぬ恋、できない相談。 もう、暫く男なんかコリゴリだ。 「別に、まだ結婚なんか考えてなかったし。今の仕事楽しいし?」 「自分に自信のある女性は、とても魅力的ですよ」
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