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布越しでもすぐに温かいと感じたのは、その手が大きくて労わるように優しく撫でたからだろう。
ん、と顔を上げて後ろを振り向いた。
……ような、気がする。
ぐら、ぐら、と視線が揺れて、どこが上で下かもわからない。
眩暈が気持ち悪くて、掌で両目を覆った。
耳鳴りがする。
ここまで酔ったのは初めてで、視覚も聴覚も心許ない状況がさすがに怖くなっていた。
「……、?――」
何か声をかけられたが、わんわんと頭に響くばかりでよく聞こえない。
ただ、知り合いだと声を聞いて安心した、ような、気がする。
ふわ、と上半身が傾いて、そこで一度意識が途切れた。
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