ねこまた、起きた。

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出入口を塞ぐ壁にぶつかりながら勢いよく飛び出してくる。 土の上で足を滑らせて転びそうになりながら建物の外で急いで周りを見回す。 「何処?!」 「何処?!」 「夢じゃないよね?!」 「見たってばっ!」 「ああ~っ!写真撮っとけば良かったぁ!」 「そんな暇無かったでしょ?!まだ近くに居るかも!」 2人の女の子達は早口で喋りながら、ボクを探すために身を屈めて彷徨きはじめた。 最近の[人間]は図太い……。 「お~い……猫~……」 「猫ちゃ~ん……何処~……」 昔は皆ボクを見ると腰を抜かしてた。 「ね~こちゃ~ん……喋る猫ちゃ~ん」 「尻尾が2本ある、猫又ちゃ~ん、出ておいで~」 「怖くないよ~」 怖がって震えてたのに……どうだ、今の世は。 《怖いわ!》 ボクは茂みの中で小さく鼻を鳴らしてソロリと方向転換をし、植え込みから続く芝生の上を足音を発てずに走ってその場から離れた。
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