1人が本棚に入れています
本棚に追加
「だいたい、俺は学校の人気者になりたいと言ったんだッ! 女子からキャーキャー言われて、男から羨望の眼差しで見られるモテ男にッ! なのに、全然話が違うじゃないか!」
「んなことねーだろ。女子からキャーキャー言われてたし、生徒からも物珍しそうに見られてじゃねーか。明日からお前は人気者だ、おめでとう」
「それは悲鳴だろ!? 何がおめでとうだ、人気者どころかただのド変態じゃねーかッ! なんなんだお前は! もういい! 俺が相談したのが間違いだったよ!」
どうやら、俺のプランがお気に召さなかったらしい。
アフロ男は、散々怒鳴り散らした後ガックリと肩を落とした。
「しかもこれから、生活指導の山崎先生から説教かよ……最悪だ……」
さきほど、アフロ男を怒鳴った生活指導の山崎は、校内でもっとも怖いと言われている人物だ。たぶん、とんでもないお仕置きが待っていることだろう。
負のオーラを発しながら立ち去ろうとするアフロ男に、俺は声をかけた。
「あ、その服とアフロとグラサン。ちゃんと演劇部に返しとけよ!」
「うるさいなぁぁ! 返すよ返せばいいんだろ!? ああ、疲れた……もうイヤだ……」
この後アフロ男がどうなったかは、知らないほうがいいだろう。
◇
「――で、何か言うことはあるかしら?」
旧校舎の一室。窓から強い日差しが差し込むこの部屋で俺――八神飛彩は、目の前に座る女子生徒に睨みつけられていた。
「依頼は無事に解決した。存分に俺を褒めろ」
「褒める前に、まずあなたの頭を何とかしないといけないみたいね」
そう言って、神楽坂皐月はこめかみを抑えた。
「八神くん、ここがどういう部活かちゃんとわかってるの?」
「当たり前だろ」
ここ、『ボランティア部』は学校の清掃やイベントの手伝い、また生徒が抱える悩みを解決するのが主な活動だ。
そして、俺に説教をしている神楽坂こそ、この部活の部長なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!