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「なら、昨日のあれは一体なに? まさかあれで解決したって本気で言っているの?」
「ああ。何か問題あるのか?」
昨日のアフロ男騒動は、朝の校内新聞で大きく取り上げられていた。これであの男を知らない生徒はいなくなるだろう。これで、無事に人気者だ。めでたしめでたし。
「問題大アリよ……あなたはこの部を潰す気かしら?」
神楽坂は凍てつきそうな眼差しを向ける。
何でも昨日の件で、ボランティア部にも非があるとして指導を受けたらしい。
「……それは悪かったよ」
「全く……ふざけるのは、その存在だけにしてくれる?」
神楽坂の毒舌に耐えながら、俺はため息をついた。
そもそも、なぜ俺がボランティア部に所属しているのか。それは無論、成績のためだ。
これでも俺は自他ともに認める不良で、学園一の問題児……とされているらしい。
無断欠席に度重なる遅刻。俺の進級が危ぶまれていたとき、担任の美波先生が提案したのが、自分が顧問をしているボランティア部の入部だった。
俺自身留年はまっぴらなので、渋々ではあるが積極的に部活動に参加しているわけだ。
「まぁまぁ……皐月ちゃんも、それくらいにしといてあげよう? 飛彩くんも反省してるみたいだし」
そう言ったのは、もう一人の部員である姫野愛花だ。
「姫野さん……この不良は、このくらいじゃ反省なんてしないわよ」
「いや反省してるから! さっき謝っただろ!」
「謝って済むなら、警察なんていらないのよ?」
「極論だ。横暴だ。弁護士を呼んでくれ」
「ふ、二人とも……もうっ」
いつもの如く、三人でそんなやり取りをしていたときだった。
コンコンッと部室のドアを、誰かがノックした。
「……どうぞ」
神楽坂がドアの向こうに声をかけた。
ガラッとドアを開け、入ってきたのは一人の男子生徒だった。
「あの……ここってボランティア部ですよね? 悩みを解決してくれるって聞いたんだけど……」
「ええ。ようこそ、ボランティア部へ」
部長による、お決まりのセリフで部活動が始まった。
◇
「「「恋愛相談?」」」
珍しい相談内容に、俺たちの声がハモった。
今時、恋愛相談を他人にするのはかなりレアなケースだろう。ましてや男子だ。
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