ようこそ、ボランティア部へ

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 一体どんな内容なのやら……。  「はい……実は僕、好きな子がいるんです。それで、その子に告白したいんですけど……」  と、一旦言葉を区切った。深刻そうな表情に、俺たちは一抹の不安を抱く。何か重大な問題でもあったのか……?  「僕どうすればいいですか!?」  ……知らねーよ。  「とりあえず、爆発すればいいんじゃないか?」  「ば、爆発!?」  ボソッと言った俺の言葉を、男子生徒は真に受けて驚く。  「八神くん。あなたは黙ってなさい……話が進まないわ」  「……へーい」  気の抜けた事に、神楽坂はジト目で俺を見るが、そっぽをむいてやり過ごす。  「あなた……どうすればいいって、告白すればいいでしょう?」  「いや、その……直接言う勇気がなくて……」  何言ってんだこいつ。  俺が男子生徒をじっと見る。顔はなかなか美形で、爽やかな男子といった雰囲気。普通にモテそうな印象を受ける。  なのに、このチキンっぷり。こいつをこれから、ヘタレ王子と呼ぼう。  「ねぇ皐月ちゃんっ! 相談に乗ってあげようよ。あたしは協力してあげたい!」  目を輝かせ、神楽坂を説得する姫野。どうやら女子は、こういう恋愛関係の話がお好きなようだ。  「……わかったわ。それじゃあ、詳しく聞かせてくれるかしら?」    男子生徒の名は及川真弘。彼は隣のクラスの黒沢茜が好きになり、何度か一緒に遊びに行ったりもしたらしい。  だが、いざ告白しようとすると振られるのが怖くなり、勇気が出ないのだという。うん、やっぱヘタレだ。  「ならメールですればいいじゃない」  神楽坂の案に、及川は首を振る。  「メールだと、気持ちが伝わらないと思うんだ……」  「だったら、手紙を書くのは!? 自分の字なら、気持ちも相手に伝わると思うの!」  だが、及川は姫野の案も否定した。  「手紙を書いて渡したら、直接言うのと同じじゃないか。そんなの緊張して渡せないよ……第一、読んでくれるかもわからないし」  め、めんどくせぇ……。  告白する気があるのかさえ、疑わしいな。  「じゃあ、どうしよっか……」  二人が、うーんと唸り始めたのを見て、俺はようやく重い腰を上げた。  「どうやら、女子組みはお手上げみたいだな?」  その言葉に、全員顔を上げる。    
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