君の名前

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次の日から、結乃はいつもの業務へ戻った。 営業1課で過ごした四日間は、仕事が忙しいだけじゃなく、ドキドキと気持ちの方も忙しかった。敏生と言葉を交わすことができて、本当に夢のようだった。 ……でも、これから社内で敏生を見つけても、目を合わせて会釈をすることなんてできない。 こんな自分が敏生の視界に入って、忌まわしいあの出来事のことを思い出してほしくない。 少し敏生に近づけたように感じていたのに、 『君は何の関係もない』 あの言葉を思い出すと怖くて……、結乃はもう敏生に近づけなかった。却って以前より遠いところにいる人になってしまった。 でも、敏生に対する想いは……、以前よりも強くなった。遠くから見つめているだけで満たされていた心は、敏生を求めてやまなくなった。敏生が心に過るだけで痛みを感じ、切なくて切なくて涙が滲むようになった。 こんな恋煩いをしていては、何をしていても心は満たされない。この週末も、職場の同僚から一泊の温泉旅行に誘われたけれど、結局結乃は行かなかった。
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