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そして24日、クリスマスイブの夜──
彼にはもう逢わないつもりだった。
だからもし彼が迎えに来ても、残業を口実に断るつもりだったのに。
「真陽ちゃん、もしかして完売?」
「うん……」
「よっしゃ!」
何かがおかしい。
今日に限って、今年に限って、いつも売れ残る店頭販売のホールケーキが時間内に完売。
それに……
「どうしてサンタ?」
「うん、着替える時間なかったから。ねぇ、早く買い物して帰ろ?」
サンタクロースの赤いコスチュームを着た彼が、白い髭と帽子を取りながら言う。
あなた本当にサンタクロースだったんだね? って、いや、おかしい、絶対おかしい。
「ねぇ亮? さっきも夕方も、それからお昼にもサンタクロースが買いに来たけど。しかも大量に」
「マジで? すごい! そんなにいるんだサンタって!」
笑ってるけどおかしいよ、絶対。
一日に計5人ものサンタに会うなんて、そんな偶然あると思う?
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