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結局その日もいつも通り二人で帰宅した。
一応クリスマスだし、オードブルやサラダくらい作ろうかとキッチンに立つと、彼が「手伝うよ」と私の隣に並んだ。
「真陽ちゃん、俺実は明日誕生日なの」
「え?うそ?」
「本当、免許証見る?」
レタスを千切る手を止めて、「ほら」って見せてくれた彼の免許証。
住所までは見えなかったけど、彼は確かにこの世に存在していて、明日が誕生日で、ゴールド免許なのだけは分かった。
「本当だ! おめでとう!」
今まで何も知らなかった、私は彼の事を。
サンタクロースR、12月25日生まれ、ゴールド免許。
他に何を知ってる?
「ねぇ、ずっと気になってたんだけど、これなあに?」
「あぁ、それ? アドベントカレンダーっていってね……」
部屋に飾ってあったアドベントカレンダーに興味を示した彼に簡単に説明する。
「アドベントって、救い主……わかりやすく言えば神様? クリスマスに神が降臨するのを待つ期間って事」
彼が引き出しを一つ一つ順番に開けて、中に書いてあるメッセージを読み上げる。
その指が、最後の引き出しに触れた時……
「待って」
咄嗟にその手を掴んだ。
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