Advent Love

15/19
前へ
/19ページ
次へ
「俺ね、思ったんだけど」 あなたの声を聞いていた、微睡みの中で。 「救い主なんていないんだよ」 「うん…」 「神様とか?そんなの待ってても、何にも起きないし、幸せにはなれないと思う」 「そう、かな…」 あなたの腕枕で、温かいベッドの中で、あなたは私に話しかけるけど、ぼんやりとしか、聞こえなかった。 「救い主ってさ、いるとしたら自分の中にいるんだよ」 「うん…」 「願ってるだけじゃダメなんだ、自分がどうにかしなきゃ」 彼の腕に包まれて、胸に耳をあてて眠りに就いた。 朝になってその温もりが消えて、彼がいつも通りスーツを着てまだ朝日が登りきらない街に溶けていっても、私は目を閉じたままだった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加