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「俺ね、思ったんだけど」
あなたの声を聞いていた、微睡みの中で。
「救い主なんていないんだよ」
「うん…」
「神様とか?そんなの待ってても、何にも起きないし、幸せにはなれないと思う」
「そう、かな…」
あなたの腕枕で、温かいベッドの中で、あなたは私に話しかけるけど、ぼんやりとしか、聞こえなかった。
「救い主ってさ、いるとしたら自分の中にいるんだよ」
「うん…」
「願ってるだけじゃダメなんだ、自分がどうにかしなきゃ」
彼の腕に包まれて、胸に耳をあてて眠りに就いた。
朝になってその温もりが消えて、彼がいつも通りスーツを着てまだ朝日が登りきらない街に溶けていっても、私は目を閉じたままだった。
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